社会に出ると、やりたいことを探しているときに、いろいろな言葉を見聞きすることがあります。
「本当にやりたいことを探した方がいい」
「もっと自分に合うものがあるはず」
「まだ見つかっていないだけではないか」
「まだどこかに本当にやりたいことがあるのではないか」
これらは自分の可能性を信じる言葉にも聞こえます。
しかし、場合によっては、この言葉によって心がブレることがあります。
例えば、以下の様に思っても、
- 今、少し好きなことがある
- 何となく興味があることがある
- やってみたいことがある
- 続けてみたい趣味がある
でも、「いや、これは本当にやりたいことではないのではないか」「もっと別の何かがあるのではないか」と考えると、その好みや関心を軽く扱ってしまいます。こうした迷いによって行動できなくなるのを防ぎ、一歩でも前進するためには、どうすればよいのでしょうか。
もちろん、本当にやりたいことを探すこと自体は悪いことではありません。ただし、「どこかに本当の正解があるはず」と考えすぎると、今の自分が反応しているものを後回しにしてしまいます。
やりたいことは、遠くにある特別な正解とは限りません。今この瞬間に心が動くことや、何気なく「好きだ」と感じていることの中に、やりたいことのヒントが隠れている場合があります。
こういったことで行動できなくなるのを防ぎ、一歩でも前進するためには、どうすればよいのでしょうか。
一番よいのは、自分の好みや関心を、むやみに軽く扱わないことです。
もう一つは、自分を迷わせる常套句に対して、あらかじめ回答を用意しておくことです。
本記事では、「まだどこかに本当にやりたいことがある」という常套句に対して、自分の心がブレないための回答例を紹介します。この記事を読んだ方は、これらの例を参考にして、自分に合った回答を作り、ノートに書いてみてください。
そして、作った回答を思い出したり、読み返したりして、自分に言い聞かせるのです。これを繰り返すことによって、自分の考えを整理し、少しずつ自分の中に定着させていきます。この方法は地味ですが、心をブレにくくするためのメンタル強化につながります。
「まだどこかに本当にやりたいことがある」という常套句
今回扱う常套句は、「まだどこかに本当にやりたいことがある」です。これは、やりたいことを探している人にとって、かなり迷いやすい言葉です。なぜなら、今ある好みや関心を、「まだ本物ではないかもしれない」と疑わせる言葉だからです。
たしかに、まだ見つかっていない可能性はあります。これから別の興味に出会う可能性もあります。今の関心よりも深くハマるものが、将来出てくることもあるでしょう。しかし、それは今の好みや関心を捨てる理由にはなりません。
- 今、少しでも心が動くこと
- 何となく気になること
- つい調べてしまうこと
- 時間を忘れて見てしまうこと
- 人に話したくなること
- 自分でもよく分からないけれど、引っかかること
こうした小さな反応の中に、やりたいことの種がある場合があります。それなのに、「まだどこかに本当にやりたいことがあるはず」と考え続けると、目の前の種を育てる前に、別の場所を探し続けることになります。
本当にやりたいことは、最初から完成した形で現れるとは限りません。はじめは、なんとなく気になる程度かもしれません。ただの好みかもしれません。気まぐれな関心かもしれません。
でも、それを続けたり、調べたり、試したり、形にしたりする中で、少しずつ深まっていくことがあります。つまり、「本当にやりたいこと」は、どこか遠くに埋まっている宝物ではなく、今の好みや関心の中から育っていくものでもあります。
だからこそ、この常套句には、あらかじめ回答を用意しておく必要があります。
回答文とは
本記事では、世間でよく使われる常套句によって生まれる迷いや不安に対して、自分の心を安定させるために用意する言葉を「回答文」と呼びます。
いわば、自分自身への返答となる言葉であり、セルフトークにも近いものです。こうした言葉は、心の支えとなり、自分の信念を確認し直すきっかけにもなります。
たとえば、今の自分には少し気になる趣味や関心があるとします。文章を書くこと、絵を描くこと、体を動かすこと、物を集めること、人と話すこと、何かを調べることなどです。
そこに、「でも、まだどこかに本当にやりたいことがあるのではないか」という考えが入ってくるとします。そのときに何も心の準備をしていないと、心はその言葉に引っ張られるかもしれません。
- 「これは本当にやりたいことではないのかもしれない」
- 「もっと大きな夢を探さなければいけないのではないか」
- 「今の好きなことを選ぶのは、妥協なのではないか」
- 「もっと特別な何かが見つかるまで待った方がよいのではないか」
このように、言葉が自分の内側に入り込み、自分自身の迷いとして膨らんでいくことがあります。
しかし、あらかじめ回答文を用意しておけば、心の中でこう返すことができます。
- 「本当にやりたいことは、今の好みや関心の中から育つこともある」
- 「あるのかもわからない正解より、目の前で心が動くものを大切にしてよい」
- 「今好きなことを続ける中で、自分に合う形が見えてくる」
このように、自分の中に返答を持っているだけで、心の揺れ方は変わります。
回答文を作るときは、自分の中にある考えや思いを言語化し、さまざまな表現を試しながら何度も書き直して、最も腑に落ちる言葉を見つけていきます。
回答文を作成する意味
回答文を作る目的は、他人を論破することではありません。大切なのは、自分の心を守ることです。
「まだどこかに本当にやりたいことがある」という言葉は、否定的な言葉に見えないところが厄介です。
むしろ、前向きに聞こえます。自分の可能性を広げる言葉にも聞こえます。もっと大きな夢を探すための助言のようにも聞こえます。しかし、この言葉に引っ張られすぎると、今の自分が持っている小さな好みや関心を無視してしまうことがあります。
たとえば、
- 今ブログで発信したいと思っているのに、「本当にやりたいことは別にあるのではないか」と考えてしまう。
- 今絵を描くことが楽しいのに、「もっと本気になれるものがあるはず」と考えてしまう。
- 今体を鍛えることに興味があるのに、「これが人生の貴重な時間をかけてやるものなのか」と考えすぎてしまう。
すると、目の前の関心を深める前に、また別の正解探しへ移ってしまいます。もちろん、広く探すことは大切です。けれども、探し続けるだけでは、何も育ちません。答えの出ない自分探しになってしまいます。
回答文は、その迷いに対する防御になります。他人に言い返す必要はありません。声に出して反論する必要もありません。心の中で、「今の好みや関心を大切にしてよい」と自分に返せばよいのです。
このような言葉を準備しておくことで、「どこかに本当の正解があるはず」という考えに心を持っていかれにくくなります。
内省|回答作成のために「本当にやりたいこと」を考えてみる
「本当にやりたいことがどこかにある」と考えると、多くの人は、今の自分にはまだ正解がないように感じます。しかし、本当にやりたいことは、いきなりはっきり分かるものとは限りません。
人の興味は、最初から強い確信として現れるわけではありません。最初は小さな違和感や、好みや、気になる気持ちとして現れることがあります。
- 何となく好き
- なぜか気になる
- つい見てしまう
- 少しだけやってみたい
- 他人がやっていると羨ましい
- 自分もできたらいいなと思う
こうした反応は、軽く見られがちです。
- 「そんな程度では、本当にやりたいこととは言えない」
- 「もっと強い情熱がないとダメだ」
- 「人生をかけられるほどのものを探さないといけない」
そう考えると、せっかくの小さな反応を消してしまいます。
しかし、やりたいことは、最初から大きな情熱でなくてもよいのです。むしろ、小さな好みや関心を大切にして、少しずつ育てていく方が自然です。
- 今の好みを深めてみる。
- 気になることを調べてみる。
- 小さく試してみる。
- 記録してみる。
- 発信してみる。
- 人に見せてみる。
- 生活の中に少しだけ取り入れてみる。
そうすることで、自分に合うかどうかが見えてきます。
「まだどこかに本当にやりたいことがある」と考えること自体は、悪いことではありません。ただし、その考えが、今ある好みや関心を否定する方向に働くなら注意が必要です。
本当にやりたいことを探すために、今の自分が感じているものを捨ててしまう。これは、かなりもったいないことです。
遠くにある正解を探し続けるよりも、目の前の好みや趣味を大切にする。
自分の感覚を信じて、小さく動いてみる。
その方が、結果として自然な道につながっていくはずです。
「今の好み」は妥協なのか
「本当にやりたいこと」を探していると、今の好みや趣味を妥協のように感じることがあります。
- たとえば、本当はもっと大きな夢があるはずだ
- もっと人生を変えるようなものがあるはずだ
- もっと社会的に意味のあることを見つけるべきだ
- ただの趣味では足りないのではないか
そう考えると、今すでに好きなことがあっても、それを認めにくくなります。しかし、今の好みは妥協ではありません。むしろ、自分の内面が反応している大切なサインです。
- 文章を書くのが好き
- 画像を作るのが好き
- 物を集めるのが好き
- 歩くのが好き
- 人の話を聞くのが好き
- 何かを調べるのが好き
- 生活を工夫するのが好き
こうした好みは、最初は小さく見えるかもしれません。けれども、そこから記事、作品、活動、職業、肩書きにつながることもあります。
大切なのは、「これが本当にやりたいことかどうか」をすぐに判定することではありません。まずは、それを少し大切にしてみることです。続けてみることです。形にしてみることです。自分の生活の中で、どのくらい意味を持つのか見てみることです。
本当にやりたいことは、育てるものでもあります。だから、今の好みを軽く扱わなくてよいのです。
作成例
ここからは、「まだどこかに本当にやりたいことがある」という言葉に対する回答文を作成していきます。回答文は、一つだけでなく、いくつか作っておくとよいです。
思いつく回答をいくつか書き出し、その中から、自分が最も納得できる形に整えていきます。
一言で返す回答例
- 本当にやりたいことは、今の好みの中から育つこともある
- 遠くの正解より、目の前の関心を大切にする
- 今好きなことを疑いすぎない
- 本物かどうかは、続けながら分かる
- 探し続けるより、今あるものを育てる
- 今の小さな反応を軽く扱わない
- 本当にやりたいことは、最初から大きな夢とは限らない
- 目の前の好みは、自分の内面から出ているサイン
- 遠くの何かより、今心が動くこと
- 探すだけではなく、育ててみる
- 今の関心を大切にすることが、やりたいことにつながる
- 「もっと別にあるはず」程度のことで、今あるものを捨てない
納得できる形にしていく
回答文は、何度も読み返せる形がよいです。たとえば、次のようにまとめます。
- 「まだどこかに本当にやりたいことがあるかもしれない。でも、今の好みや関心を後回しにする必要はない。本当にやりたいことは、今心が動くものの中から育つこともある。どこかにあるかどうかもわからない正解を探し続けるより、まずは目の前の好みを大切にして、小さく試してみる」
このような形で、自分にとって腑に落ちる回答文を作っておきます。
短くしたい場合は、次のようにしてもよいです。
- 「どこかにあるかどうかもわからない正解より、今心が動くことを大切にする」
さらに短くするなら、
- 「今の好みがいい」
このくらいでも十分です。
どのように現実につなげていくか
回答文を作っただけでは、現実は変わりません。
大切なのは、回答文を作ったうえで、今の好みや関心を小さな行動に変えることです。
「まだどこかに本当にやりたいことがある」と考えてしまう人は、最初から大きな正解を探しすぎている場合があります。
- 人生を変えるほどのことを探す
- 一生続けられることを探す
- 仕事になることを探す
- 他人に誇れることを探す
- 強い情熱を持てることを探す
そうすると、今の小さな好みが弱く見えてしまいます。だからこそ、回答文によって、「最初から人生を変えるほどの正解を見つけなくてもよい」「今心が動くことを、小さく試すところから始めればよい」と、自分の考えを現実に引き戻すのです。
おわり
世間には、今回の「まだどこかに本当にやりたいことがある」以外にも、「もっと向いていることがあるはず」「本当に好きなことを見つけた方がいい」「妥協しない方がいい」など、一見すると前向きに聞こえる常套句があります。
こうした言葉は、可能性を広げる言葉として使われることもあります。しかし、聞き方によっては、今の自分が持っている好みや関心を疑わせる言葉にもなります。
そのときの心や体の状態によっては、自分が少しやってみたいと思っていたことへの意欲にブレーキがかかってしまうこともあるでしょう。だからこそ、こうした言葉に対して備えておくことが必要です。
こういった常套句に対して、自分なりの納得できる考えや前向きな答えを持っておくことで、必要以上に心を乱されることを防げます。
もちろん、どのような答えがしっくりくるかは人それぞれです。けれども、自分にとって無理のない形で、できるだけ前向きな方向から捉え直すことを意識すれば、心への負担は軽くなります。
自分さえ納得できればよいのです。他人に理解を求める必要はありません。そう考えると、少し楽になります。
本当にやりたいことを探すことは大切です。ただし、遠くにある正解を探し続けるあまり、今この瞬間の好みや関心を捨ててしまう必要はありません。
- 目の前の小さな反応を大切にすること
- 少し試してみること
- 続けながら、自分に合う形へ変えていくこと
その積み重ねが、結果としてやりたいことにつながっていきます。まずはノートに、こう書いてみましょう。
「どこかにあるかどうかもわからない正解より、今心が動くことを大切にする」
- 世間の常套句には、心を揺らす力がある
- 「まだどこかに本当にやりたいことがある」は、一見前向きだが、今の好みや関心を疑わせることがある
- 本当にやりたいことは、最初から明確な形で見つかるとは限らない
- 今の好みや趣味の中に、やりたいことのヒントが隠れている場合がある
- 遠くにある正解を探し続けるより、目の前の関心を大切にすることが大切
- 本当にやりたいことは、見つけるものでもあり、育てるものでもある
- 回答文は、他人を論破するためではなく、自分の心を守るために作る
- 回答文をノートに書き、読み返すことで、自分の考えを取り戻しやすくなる
- 今の好みを疑いすぎず、小さく試すことが行動につながる
- 常套句への回答を用意することは、メンタル強化になる
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