社会に出ると、やりたいことがあっても、そのことのマイナス面をいろいろ言われることがあります。
「そんなことをして何になるのか」
「それで食べていけるのか」
「もう歳ではないか」
「十年後には飽きてしまわないか」
こうした言葉を聞くと、たとえ好きなことでも、急に否定的に思えてしまう場合があります。特に「十年後には飽きてしまわないか」という言葉は、一見すると現実的な助言のように聞こえます。しかし、実際には、今動き出そうとしている気持ちにブレーキをかける力があります。
もちろん、十年後のことを考えること自体は悪いことではありません。ただし、まだ始めてもいない段階で、「十年後に飽きるかもしれない」と考えすぎる必要はありません。
やりたいことは、最初から十年続くと証明できるものではありません。始めてみて、続けてみて、形を変えながら、自分に合うかどうかが見えてくるものです。
こういったことで行動できなくなるのを防ぎ、一歩でも前進するためには、どうすればよいのでしょうか。
- 一番よいのは、好きなことややりたいことを、むやみに人に話さないことです。
- もう一つは、自分を迷わせる常套句に対して、あらかじめ回答を用意しておくことです。
本記事では、「十年後には飽きてしまわないか」という常套句に対して、自分の心がブレないための回答文を作成しました。この記事を読んだ方は、これらの例を参考にして、自分を迷わせる言葉への回答を作り、ノートに書いてみてください。
そして、作った回答を思い出したり、読み返したりして、自分に言い聞かせるのです。これを繰り返すことによって、自分の考えを整理し、少しずつ自分の中に定着させていきます。この方法は地味ですが、心をブレにくくするためのメンタル強化につながります。
回答文とは
本記事では、世間でよく使われる否定的な常套句によって生まれる迷いや不安に対して、自分の心を安定させるために用意する言葉を「回答文」と呼びます。
いわば、自分自身への返答となる言葉であり、セルフトークにも近いものです。こうした言葉は、心の支えとなり、自分の信念を確認し直すきっかけにもなります。
たとえば、何かを始めようとしたときに、「十年後には飽きてしまわないか」と言われたとします。そのときに何も準備していないと、心はその言葉に引っ張られるかもしれません。
- 「たしかに、飽きるかもしれない」
- 「続かなかったら意味がないのではないか」
- 「今から始めても無駄になるのではないか」
このように、相手の言葉が自分の内側に入り込み、自分自身の迷いとして膨らんでいくことがあります。
しかし、あらかじめ回答文を用意しておけば、心の中でこう返すことができます。
- 「十年後に飽きるかどうかは、十年続けた人にしか分からない」
- 「今の自分が動きたいと思っているなら、まずは始めてよい」
- 「飽きたとしても、経験は残る」
このように、自分の中に返答を持っているだけで、心の揺れ方は変わります。
回答文を作るときは、自分の中にある考えや思いを言語化し、さまざまな表現を試しながら何度も書き直して、最も腑に落ちる言葉を見つけていきます。また、既存の名言や著作物の中から、心に深く響いた一節を引用するのも一つの方法です。
たとえば、エジソンの言葉として広く知られている、次のような表現があります。
たとえ周囲が「もうやめておけ」と否定的な言葉を投げかけてきたとしても、こうした回答文を心に持つことで、信じた道を進む勇気が湧いてくるでしょう。
回答文を作成する意味
回答文を作る目的は、他人を論破することではありません。大切なのは、自分の心を守ることです。世間の常套句は、正論のような顔をして入ってきます。しかも、短くて分かりやすく、強い言葉であることが多いです。
- 「十年後には飽きてしまわないか」
- 「そんなことでは食べていけない」
- 「もう歳だ」
- 「現実を見ろ」
- 「好きなことを仕事にすると嫌いになる」
こうした言葉は、どれも一理あるように聞こえます。
だからこそ、心が揺れます。
これらの言葉は、必ずしも今の自分に必要な言葉とは限りません。でも、まだ始めていない段階で聞くと、行動する前から不安だけが大きくなってしまいます。
回答文は、その不安に対する防御になります。他人に言い返す必要はありません。声に出して反論する必要もありません。心の中で、「今は十年後の心配より、今日一歩進むことが大切だ」と自分に返せばよいのです。
このような言葉を準備しておくことで、否定的な常套句に心を持っていかれにくくなります。
「十年後には飽きてしまわないか」という常套句
今回扱う常套句は、「十年後には飽きてしまわないか」です。これは、やりたいことを始めようとしている人にとって、かなり厄介な言葉です。なぜなら、未来の不安を使って、今の行動を止めようとする言葉だからです。
たしかに、十年後に飽きている可能性はあります。それは否定できません。しかし、十年後も飽きないかどうかは、今の時点では分かりません。誰にも分かりません。
それなのに、「十年後に飽きるかもしれない」という理由だけで、今やりたいことを止めてしまうのは、もったいないです。
- 十年後に飽きるかもしれない
- 十年後にもっと深く好きになっているかもしれません
- 形を変えて続いているかもしれません
- 別の活動につながっているかもしれません
- 経験が仕事や肩書きになっているかもしれません
つまり、未来は「飽きる可能性」だけではありません。広がる可能性もあります。それなのに、飽きる可能性だけを大きく見てしまうと、行動できなくなります。だからこそ、このネガティブな常套句には、あらかじめ回答を用意しておく必要があります。
回答作成のために「飽きる」ということを考えてみる
「飽きてしまわないか」と考えると、多くの人はそれを失敗のように感じます。しかし、飽きることは失敗とは限りません。
- 人の興味は変わります
- 生活環境も変わります
- 体力も変わります
- 価値観も変わります
- 経験を重ねれば、見える景色も変わります
だから、十年後に同じ熱量で続けていなかったとしても、それだけで失敗とは言えません。むしろ、何かに取り組んだからこそ、自分に合うものと合わないものが分かります。一度深くやってみたからこそ、次に進む方向が見えてくることもあります。
飽きるということは、場合によっては、次の興味へ移るサインでもあります。自分の内面が変化したということでもあります。もちろん、短期間で何度もやめてしまう場合は、続け方や取り組み方を見直す必要もあります。しかし、「飽きる可能性があるから始めない」というのは、さらにもったいないです。飽きたら、そのときに考えればよいのです。
- 続ける
- 形を変えてみる
- 休んでみる
- 別の活動に移る
- 他と組み合わせる
- 仕事ではなく趣味に戻してみる
選択肢はいくつもあります。だから、「十年後に飽きるかもしれない」という言葉に対しては、こう回答します。
- 飽きても終わりではない
- 飽きたら形を変えればよい
- 飽きるまで続けた経験は残る
- 何もしなかったより、ずっと前に進んでいる
この考え方を持っておくと、未来の不安で心が止まりにくくなります。
作成例
ここからは、「十年後には飽きてしまわないか」という言葉に対する回答文を作成していきます。回答文は、一つだけでなく、いくつか作っておくとよいです。
思いつく回答をいくつか書き出し、その中から、自分が最も納得できる形に整えていきます。
一言で返す回答例
- 十年後に飽きるかどうかより、今やらない後悔の方が大きい。
- 十年後の心配より、今日の一歩。
- 十年後に飽きたとしても、十年分の経験は消えない。
- 十年後の不安で、今日の可能性を消さない。
- 飽きたとしても、やった経験は残る。
- 飽きるかどうかは、始めた人だけが知ること。
- 飽きる未来だけを見て、始める未来を捨てない。
- 飽きることは失敗ではなく、変化の一つ。
- 飽きたとしても、それは失敗ではない。変化しただけ。
- 今の自分が動きたいなら、それだけで始める理由になる。
- 続くかどうかは、続けながら分かる。
納得できる形にしていく
回答文は、何度も読み返せる形がよいです。
たとえば、次のようにまとめます。
- 「十年後に飽きるかどうかは、十年後の自分にしか分からない。今の自分がやりたいと思っているなら、まずは小さく始めてよい。飽きたとしても、経験は残る。続いたら深めればよい。変わったら、変わった形で進めばよい。」
このような形で、自分にとって腑に落ちる回答文を作っておきます。
短くしたい場合は、次のようにしてもよいです。
- 「十年後の不安で、今日の一歩を止めない。」
さらに短くするなら、
- 「飽きても経験は残る。」
このくらいでも十分です。
おわり
世間には、今回の「十年後には飽きてしまわないか」以外にも、「もう歳だ」「そんなことでは食べていけない」「好きなことを仕事にすると嫌いになる」など、否定的な常套句が数多く存在します。こうした言葉は会話の中で頻繁に使われ、深く考えずに話題の一つとして口にされることもあります。
しかし、これらの常套句は「一般常識」や「現実的な意見」として語られるため、聞いた後に心がぐらついたり、不安を感じたりすることがあります。そのときの心や体の状態によっては、自分がやりたいと思っていたことへの意欲にブレーキがかかってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、こうした言葉に対して備えておくことが必要です。
一つひとつの常套句に対して、自分なりの納得できる考えや前向きな答えを持っておくことで、必要以上に心を乱されることを防げます。
もちろん、どのような答えがしっくりくるかは人それぞれです。けれども、自分にとって無理のない形で、できるだけ前向きな方向から捉え直すことを意識すれば、心への負担は軽くなります。
自分さえ納得できればよいのです。他人に理解を求める必要はありません。そう考えると、少し楽になります。
どのような常套句に出くわしても、自分の軸を保ちながら進むためには、自分の考えを取り戻せる言葉を持っておくことが大切です。そうした言葉を、日々の中で少しずつ増やしていきましょう。その習慣が、心の安定にもつながっていきます。まずは、お気に入りのノートに、常套句への回答を一つ書くことから始めてみましょう。
- 世間の常套句には、心を揺らす力がある
- 「十年後には飽きてしまわないか」は、未来の不安で今の行動を止める言葉になりやすい
- 十年後に飽きるかどうかは、今の時点では分からない
- 飽きたとしても、経験、知識、習慣、人とのつながりは残る
- 回答文は、他人を論破するためではなく、自分の心を守るために作る
- 回答文は、自分に合う形で作ればよい
- 回答文をノートに書き、読み返すことで、自分の心を安定させやすくなる
- 十年後の不安より、今日の一歩を大切にする
- 飽きることは失敗ではなく、変化の一つとして捉える
- 常套句への回答を用意することは、メンタル強化になる
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