素朴な疑問として「ヘッドホンの音の聴こえ方って何んだろう」と思ってはいませんか?
ヘッドホンで音楽を聴くと、スピーカーとは明らかに違う聞こえ方をします。
これは当たり前のことなのですが、僕は以前から、その違いが何なのか気になっていました。
ヘッドホンの音が嫌いだったわけではありません。普通に音楽を楽しめますし、ヘッドホンならではの良さも感じていました。
ただ、
「この独特な聞こえ方は、いったい何なのだろう」
という疑問が、ずっと自分の中に残っていました。
そしてあるとき、突然その正体が自分の中で腑に落ちました。
スピーカーの音は、発生源からやってくる
スピーカーで音楽を流せば、音はスピーカーのある方向から聞こえてきます。
これは普段の生活で聞いている音と同じです。
人が話せば、その人のいる場所から声が聞こえます。テレビの音はテレビから聞こえ、車が走ってくれば道路の方向から音が聞こえます。
つまり、
「自分の外側に音の発生源があり、そこから音がやってくる」
という聞こえ方です。
スピーカーも基本的には同じです。
もちろん、本物の楽器や人の声とスピーカーから再生された音は同じではありません。
それでも、音が自分の外側に存在するという点では、日常的に経験している音の聞こえ方に近いものがあります。
ヘッドホンには独特の聞こえ方がある
ところが、ヘッドホンで音楽を聴くと感覚が変わります。
単に「耳のすぐ近くから音が出ている」というだけではありません。
音楽が自分の頭の中に展開されているような、独特の聞こえ方になります。
一般には「頭内定位」などと説明されます。
ただ、僕が知りたかったのは、その現象の名称ではありませんでした。
頭内定位と言われれば、「なるほど、これは頭内定位というのか」とは分かります。
しかし、それだけでは僕自身の感覚として、
「この音は何なのか」
という疑問に答えを出せませんでした。
だから、どこか引っかかったままだったのです。
「この感じ、知っている」と突然気づいた
ところがあるとき、ふと思いました。
「このヘッドホンの聞こえ方、音を思い出したときの感じに似ている」
好きな曲を思い出してみます。
そのとき、実際に音楽が流れているわけではありません。
耳から音が入ってきているわけでもありません。
それでも、曲のメロディーや歌声、楽器の音などを記憶から呼び出すことができます。
もちろん、実際に音として聞こえているという意味ではありません。
頭の中で音を思い出し、再現している感覚です。
そのときの音には、スピーカーのように「向こうからこちらへ音がやってくる」という感覚がありません。
鮮明ではないですが、頭の中で音楽が展開されます。
そして僕は、
「ああ、ヘッドホンで音楽を聴いたときの感じって、これに似ているんだ」
と気づきました。
長い間うまく説明できなかったヘッドホンの聞こえ方が、ようやく自分の知っている感覚とつながりました。
正体が分かってスッキリした
これは、ヘッドホンの音響的な仕組みを解明したという話ではありません。
「ヘッドホンの音とは科学的にこういうものだ」と言いたいわけでもありません。
あくまで僕自身の感覚として、
「ヘッドホン特有の聞こえ方は、記憶から音を呼び出して頭の中で再現するときの感覚に似ている」
と気づいたという話です。
でも、この気づきは僕にとってかなり大きなものでした。
今まで正体の分からなかった感覚に、自分なりの説明がついたからです。
「そうか。この感じだったのか」
と、妙にスッキリしました。
「ヘッドホンの音は不自然かも」という見方も変わった
それまで僕は、ヘッドホンの聞こえ方について「スピーカーと比べれば不自然かも」と考えることがありました。
現実世界の音は、基本的には自分の外側からやってきます。
その意味では、スピーカーのほうが普段の音の聞こえ方に近い。
一方、ヘッドホンの音も外側からですが、近すぎるので頭の中に発生源があるように感じます。
だから、それをスピーカーと同じ基準で考えれば、「不自然な音」ということになります。
でも、「音を思い出したときの感覚に似ている」と気づいてから、その見方が少し変わりました。
ヘッドホンは、音を不自然にしたものではない。
「そもそも違う種類の音楽体験として考えればいいのではないか」
そう思えるようになりました。
スピーカーでは、自分の外側に音楽を鳴らします。
ヘッドホンも間近で鳴らしますが、それが自分の内側に音楽が展開されているように感じます。
その内側に展開される感じが僕にとっては、記憶の中から音楽を思い出すときの感覚に似ていると思いました。
ヘッドホンを以前より楽しめるようになった

新しいヘッドホンを買ったわけでもありません。
音質が変化したわけでもありません。
変わったのは、自分の中での捉え方だけです。
それでも、「これはスピーカーとは違う聞こえ方をするものなんだ」と素直に受け入れられるようになり、以前よりヘッドホンで音楽を楽しめるようになりました。
何となく感じていた違和感を、専門用語で説明できたからではありません。
自分がすでに知っている感覚と結びついたから、腑に落ちたのです。
ヘッドホンの音は、スピーカーから聞こえてくる音とは違います。
でも、その聞こえ方は、自分にとってまったく未知のものでもありませんでした。
音楽を思い出す。
記憶の中から音を呼び出す。
そのとき頭の中に現れる音の感覚。
ヘッドホンの音は、「それに似ている」と思いました。
長い間「この聞こえ方は何なのだろう」と思っていたものが、ようやく自分の中で言葉になりました。
ただそれだけのことなのですが、その瞬間、ヘッドホンの音が以前よりずっと馴染みのあるあるものになりました。











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